長崎県腎臓バンク

腎不全・CKDについて

腎臓とは?

【腎臓の位置】
腎臓は背中側に左右一対で2個あり、握りこぶしより少し大きく、そら豆の形をしています。
1つの大きさは、長さ10~11cm×5~6cm、幅4~5cmで、1つの重さは約120~150gです。

【腎臓のはたらき】
腎臓は私たちが健康に生きていくために生体のバランスを取ってくれる大切な臓器です。
腎臓のはたらきが低下すると老廃物や水分が体にたまり、バランスが崩れて生きていけなくなります。

腎臓の主なはならき

  1. 血液中の老廃物を尿として出す。
  2. 体内の水分や血液中の電解質やphを調整する。
  3. 血液を造ったり、血圧を調節したり、カルシウムの吸収を助けるホルモンを分泌する。

腎臓の病気について

腎臓病は腎臓自体の病気でおこる場合と、糖尿病など他の病気が影響しておこる場合があります。
【腎臓病自体の病気】 ・糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、多発性のう胞腎 など
【他の病気が影響】   ・糖尿病性腎症、腎硬化症 など

【腎臓の機能を調べる検査】

検査項目 検査の説明 正常値 異常値の場合に
考えられること
尿検査 尿たんぱく 腎臓に異常があると血液中のたんぱくが尿に漏れ出します。腎臓病を見つける手掛かりになります。 陰性(−) 糸球体腎炎・腎孟腎炎
ネフローゼ症候群
妊娠中毒症 など
尿潜血 試験紙によって尿中に血液が混ざっているか調べますが、わずかな場合は肉眼ではわかりません。 陰性(−) 糸球体腎炎・腎孟腎炎
膀胱炎・尿管結石 など
血液検査 尿素窒素(BUN) BUNは体がたんぱく質を利用した後に出る老廃物です。腎機能が低下して尿中に排出できなくなると血液中に増加します。 8~20mg/dl 急性慢性腎炎
腎孟腎炎・尿路結石
嘔吐・脱水 など
血清クレアチニン(s-Cr) s-Crは主に筋肉がエネルギーとしてたんぱく質を利用した後に出る老廃物です。腎機能が低下して尿中に排出できなくなると血液中に増加します。 男性:0.6~1.0mg/dl
女性:0.4~0.8mg/dl
糸球体腎炎
腎不全 尿毒症 など

日本医師会雑誌 第136巻・特別号(2) 「腎・泌尿器科疾患診療マニュアル」より

※正常値については、検査機関や検査方法によって多少異なります。

腎臓病になったら

腎臓の機能が低下すると症状により下記の薬と組み合わせて処方されますので、専門の医療機関で継続した治療を行いましょう。

1.薬物療法

  1. 腎臓機能を悪化させないための薬
    • 降圧剤(腎臓保護作用、血圧を下げる)
    • 尿毒素吸着薬(尿毒素を吸着して体外に排出する)
  2. 腎臓機能が低下したことでおこる症状に対する薬
    • リン吸着薬(骨がもろくなるのを予防する)
    • 活性型ビタミンD(骨がもろくなるのを予防する)
    • カリウム吸着薬(血液中のカリウムを下げる)
    • エリスロポエチン[造血剤](貧血を改善する)

2.腎臓を守るための食事制限
食事療法の基本はたんぱく質と塩分制限ですが、さらに腎臓機能が低下するとカリウムやリンの制限も必要となります。

※薬物療法・食事療法はそれぞれの病気の種類や症状の程度で異なりますので、医師・管理栄養士の指示に従ってください。

腎不全・慢性腎臓病(CKD)とは?

慢性腎臓病(CKD:chronic kidney disease)とは3ヶ月以上持続する尿異常(尿たんぱく・血尿)、腎形態異常または、腎臓機能が約60%未満までに低下した状態をいいます。
腎臓機能が正常の60%未満に落ちると上記のような症状が出はじめ、進行性の腎機能低下があると考えられます。
正常の15%以下の腎臓機能となり、人工透析や腎臓移植が必要か、必要に差し迫った状態を末期腎不全といいます。
腎臓機能が低下して腎不全になっていなくても、尿異常や腎臓形態の異常があれば、一度は腎臓専門医にかかることをおすすめします。

末期腎不全の治療選択

末期腎不全にいたった場合は回復の可能性がなく、尿毒症や高カリウム血症(不整脈・心臓が止まることもある)・心不全など重大な問題を起こすので、人工透析や腎臓移植をする以外に方法がありません。
末期腎不全に対する治療は腎臓の機能のうち、水・電解質および老廃物を取り除く手段である「透析療法」と腎臓の機能をほぼすべて肩代わりする「腎臓移植」の2通りがあります。

【透析療法】
透析療法とは腎臓に代わって、人工的に体の血液を浄化する働きを代行しています。
透析療法を受けることにより、生命を維持することができ、ある程度までは普通に生活することが可能になります。
しかし、透析療法は腎臓機能を回復される治療法ではなく、腎臓の機能を完全に補うものではありません。従って、腎臓移植を受ける場合を除いて生涯継続する必要があり、長く続けていると合併症も生じてきます。
血液を透析器に通してきれいにして戻す「血液透析」と、お腹にカテーテルという管を入れ、それを通して透析液を出し入れする「腹膜透析」の2種類があります。

【腎臓移植】
本人の腎臓の代わりとなる正常な腎臓を移植するので、腎臓の機能をほぼ肩代わりします。
健康な血縁者から2つの腎臓のうち1つの提供を受ける「生体腎移植」と、脳死や心臓死になられた方から腎臓の提供を受ける「献腎移植」の2種類があります。

1.血液透析(HD)
腕の血管(シャント)に針を刺しポンプを使って血液を体の外に取り出し、透析器(ダイアライザ)に血液を送り込み、老廃物や余分な水分を取り除き、血液を体に戻します。
通常、1回4~5時間、週3回通院して行います。

2.腹膜透析(PD・CAPD)
自分のお腹に入れてある管(カテーテル)を通して腹腔内に透析液を注入して、腹膜を通して老廃物や余分な水分を濾し取ったものを同じように管を通して排液します。
1日4回(朝食時、昼食時、夕食時、就寝時、1回の交換時間は約30分)を繰り返す方法と自動腹膜装置を利用して日中の交換をなくし夜間就寝中9時間ほどかけて行う方法もあります。
自分で自宅や職場で行うこともできますので、通院する必要もありません。

3.腎臓移植
本人の腎臓の代わりとなる正常な腎臓を移植するので、腎臓の機能が回復すれば、健康なからだに戻り、人工透析も不要になります。
腎臓(自分にとっては異物)を移植すると拒絶反応がおこるので、予防する薬(免疫抑制剤)を必ず服用しなければなりませんが、健康な人とほぼ同様の生活が可能で、旅行や学校に行ったり、仕事に復帰することもできます。
生体移植は、健康な家族にメスを入れるため、むしろ家族の負担が大きくなりますが、日本では、死後の臓器提供(献腎移植)が少ないため、生体腎臓移植が多い傾向にあります。
献腎移植を希望する場合は、日本臓器移植ネットワークへ登録することが必要です。

医学的条件・ライフスタイル・年齢・性格を考慮し、自分の状態にふさわしい適切な治療を受けましょう。
また、3つの治療法は相反するものではありません。血液透析・腹膜透析・腎臓移植は互いに補助的な役割があります。
担当の医師やスタッフともよく相談し、自分に最もあった治療法を考えてください。

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